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- 当科で実施している手技と手術について

当科で実施している手技と手術について

腎生検

腎生検

健診などでタンパク尿や血尿を指摘された患者さんの原因が腎臓にあるのか、あるいは腎臓のどこにどのような原因があるのか、腎機能が正常であっても今後腎機能がどうなっていくのかを調べるために必要な検査です。そして治療方針の決定にも大変重要な検査です。
当院では入院して超音波ガイドで腎生検を施行しています。腎生検後は出血予防のために圧迫と仰向けで翌朝までベッド上安静が必要です。安静と合併症予防のため標準的な入院期間は6日です。

どのような時に腎生検が必要になるのですか?

1. 血尿が持続し、進行する腎炎が疑われるとき
2. 1日0.3~0.5g以上の蛋白尿があるとき
3. 大量の蛋白尿がみられるとき(ネフローゼ症候群など)
4. 急速進行性糸球体腎炎が疑われるとき (急性腎不全に加え、血尿が加わる腎炎を「急速進行性糸球体腎炎」といいます。全身性の病気でおこることもあり、迅速な診断治療が必要になることがあります)
5. 血尿も蛋白尿もない、原因不明の腎不全の原因診断を行うとき

腎生検が出来ないのはどんな時ですか?

1. 超音波検査で腎臓が萎縮している
2. 腎臓にのう胞がたくさんにある(多発性のう胞腎のとき)
3. 出血しやすい状態が改善できない、腎臓そのものや周囲に感染がある
4. 検査中の指示、検査後の安静をお守りいただけない可能性がある
5. 患者さんやそのご家族がご希望されない、あるいはご承認が得られない

バスキュラーアクセス(血液透析で血液を出し入れするところ)

血液透析では1分間に150~250mlの血液をダイアライザー(透析器)に循環させなくてはいけません。しかしながら私たちの静脈に注射針を穿刺しても、1分間に50ml程度しか血液を取ることが出来ません。
一方、動脈は十分な血液を取ることができますが、皮膚の表面から深いところを走行しており穿刺が難しいことや止血も難しく、神経損傷のリスクもあります。

そこで血液透析のために血液を取りだす場所(バスキュラーアクセス)を作成する必要があります。バスキュラーアクセスにはいくつか種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

内シャント造設術

  • バスキュラーアクセスの第1選択です。
  • 手首近くの腕の動脈と静脈を手術でつなぎ合わせることによって、動脈の血流をそのまま皮静脈に流し、血管を太くします。
  • 作成後、血管の発達を待って使用可能となるまで約2週間必要です。
  • シャント造設は心臓に負荷がかかるため、心機能が悪い患者さんは手術できないことがあります。
  • 当院腎臓内科では透析用内シャント造設術を透析に直接関わる腎臓内科医師により施行しています。シャントは透析患者さんにとって命の次に大切なものです。穿刺しやすく、長持ちするシャント作成を心掛けています。

内シャント造設術

動脈表在化術

  • 血管が乏しくシャント造設が困難な場合や心機能が極めて悪い場合に作成しています。
  • 上腕動脈は皮膚の深いところで筋肉の中を走行していますが、それを皮膚の直下に持ち上げてきて穿刺しやすくする手術です。
  • 何度も穿刺することで動脈瘤になるリスクがあります。

長期留置カテーテル挿入術

  • シャント造設が困難な時の選択肢の1つです。
  • 首の血管からカテーテルを挿入後に、皮下トンネルを経由して鎖骨の下あたりからカテーテルを出します。
  • 人工物を体内に留置するため、感染のリスクが高く、日々のケアが必要です。

シャントPTA(バルーンカテーテル拡張術)

  • シャント音が悪くなったときや透析で脱血が出来なくなってきた時などに適応を考慮します。
  • 狭くなったシャント血管を、風船を使って血管の内側から広げます。
  • 当院ではほとんどのケースをエコーガイド下で実施しています。そのため放射線で被爆することはありません。

腹膜透析カテーテル挿入術

  • 腹膜透析を始めるためにはカテーテルをお腹に埋める手術が必要です。
  • ベルトラインと重ならない位置からカテーテルをお腹の外に出します。
  • 透析を始める少し前に前もってカテーテルを皮下に埋めておいて、透析を開始する直前にお腹の外に取り出す場合があります。
  • 当院では全身麻酔で手術を実施しています。
  • 腹膜透析カテーテル挿入1
  • 腹膜透析挿入カテーテル挿入2